Vol.1 鶴野 ゆか さん
NY市立大学卒業後、広告代理店に勤めるなど、
8年間のニューヨーク生活を過ごし、帰国後に「ユカ・ツルノ・ギャラリー」を設立。
娘の出産をきっかけに、今年の春には産前産後ケア付きの保育園を開園するなど、
アートを通じての社会貢献を形にしている鶴野さん。
アーティストのため、子供たちのため、社会のため......、常に誰かのために貢献できる
自分を貫く鶴野さんの姿から、真の優しさは強さだということが感じ取れます。
「8年間のNY生活が、ギャラリストという仕事を私に与えてくれました。多くのアーティストがスタジオを構える、ブルックリンのウィリアムズバーグのロフトで生活していたんです。隣に住んでいた友達がピリピリしながら制作しているなーなんて思っていたら、次の日にキュレーターが颯爽と入ってきて、しばらくしたら、その友達の作品がコマーシャルギャラリーに展示され、みんなでオープニングレセプション出かける......みたいなことが日常でした。元々、アンディ・ウォーホールやバスキアに代表される60年代のアートシーンへの憧れはありましたが、そんな環境にも背中を押される形で自然とギャラリストを志すようになりました。」
どんな立ち位置で、どんなアーティストと共に歩むか。ギャラリストとしての矜持は、まさに森羅万象といえるが、このNYでの生活を基盤にし、鶴野さんの方向性は2009年のギャラリー設立当初から決して揺るぐことはありませんでした。
「同時代を生きる、新しいアーティストの才能を発掘して、新しい価値や気づき、美しさをつくっていくこと。そこにこそ、アートの面白さがあると考えていますし、自分には向いていると思います。現在は17人のアーティストを取り扱っていて、うち14人は日本人。スタートしたばかりの時からともに歩んできた人たちばかりです。彼らの作品が美術館に展示や収蔵されること、個人コレクターに売れることはなによりの喜びです。」
アートを通じての社会貢献を精力的に、驚くほどの推進力で進めている鶴野さん。これまでもタイのHIV孤児院や児童発達支援施設でのワークショップを開催したり、作品販売を通じた児童虐待防止運動への協力を行ってきました。それに続く形で、3年前、高齢出産にて待望の子供を授かった体験から、今年の春に産科医や弁護士の仲間と立ち上げた社団法人で、産前産後ケア付きの保育園を開園。
「不安な時期を過ごす母や子供たちを笑顔にするために開園しました。10年後には乳児院とアートが融合した素敵な施設ができたらと夢を描いています。元々、NGOの活動にも興味があり、ソーシャルワークの勉強をするためにNYを選んだという経緯もあります。若いときはなにか活動したいと思っても、微力過ぎてボランティアをするのが精一杯。今は、自分にしかできない形で社会貢献ができているのかなと思っています。」
ギャラリストとしての仕事、社会貢献、子育てと目まぐるしい今のライフスタイルを支えてくれているもののひとつがセオリーの洋服。
「ギャラリストとして、やはり上質で流行を取り入れている洋服を着て、人前に立ちたいと思っています。柄ものは作品の邪魔をするのであまり着ません。セオリーはとにかく着心地が良くて、品があって、動きやすい。仕事はもちろん、子供を抱っこして公園に行くオフの日にもぴったりのアイテムがたくさんあって、今では1番の愛用ブランドになりました。」
Photographs by AKEMI KUROSAKA at STUH
Styling: NAO NOMURA
Hair: SHINTARO HANDO at MAKE MY DAY
Makeup: YOKO MINAMI
Cooperation: YUKA TSURUNO GALLERY
Realization: KAORI WATANABE at FW